2022年6月3日(金)、第14回となる神奈川県慢性期医療協会講演会を、当協会と株式会社大塚製薬工場との共催により、オンラインにて行った。
TKPガーデンシティ横浜(横浜市西区)を会場にライブ配信を行い、事前に申し込みをいただいた69か所100名程度の方に視聴された。なお当協会幹部会については、約2年ぶりに対面で開催した。
今回は講演会の開始前に、神奈川県医療危機対策本部室の担当者が来場し、幹部を対象に慢性期病院のCOVID‑19に対する医療提供体制についてヒアリングが行われた。今後当協会の全施設を対象にアンケート調査を行う予定である。
講演会は二部構成で行われ、両講演ともに座長は当協会会長である医療法人社団 三喜会理事長 鶴巻温泉病院 院長 鈴木 龍太氏が務めた。
前半は、当協会副会長である小松会病院名誉院長 小松幹一郎氏が務めた。「コロナ対応 療養型病院でもできること」と題し、療養型病院が抱えるリスクや自院における取り組みについてお話された。小松氏からは、毎月職員向けに院長メッセージを発信し続け、院内の士気を高める努力をしたことや、院内感染を防ぐためのルール作りを行った事例などが紹介された。
後半は、神奈川県理事(医療危機対策担当)医療危機対策統括官、藤沢市民病院 副院長 阿南英明氏を講師にお迎えし「神奈川県におけるコロナ医療体制~~本邦の医療特性と状況への適合の視点~」をテーマにお話しいただいた。阿南氏からは、ダイヤモンド・プリンセス号の対応にあたった際の教訓が、その後「神奈川県モデル」となり、県内だけでなく全国へとその施策が展開されたことが紹介された。具体的な事例として、課題の1つであったリソース(ヒト・モノ)の見える化をIT基盤を構築して解決したことが紹介された。
また、今後の第7波に備えて、医療ひっ迫を回避するため、引き続き感染予防対策を徹底する(①リスクの高い接触機会を減らし、確実なマスク着用・換気に努める ②症状があるときには職場/学校を休む)ことが重要であると述べられた。
阿南氏は2020年2月集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に派遣された災害派遣医療チーム(DMAT)を統括された全国的に知られている御高名な先生であり、会員のみならず会員以外の参加者もあり大変好評な講演会となった。
なお、次回は来年2~3月頃の開催を計画している。
医療法人社団三喜会 理事長 鶴巻温泉病院 院長 鈴木龍太
医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院 地域連携室 伊勢正輝
(神奈川県慢性期医療協会 事務局)
【写真1】阿南英明氏
【写真2】集合写真